2008年ILO訪問の目的と成果
郵産労は、郵政民営化反対運動の柱のひとつに、ILOが2002年の郵便部門の会議で採択した、「ユニバーサルサービス」「郵便事業におけるリストラと規制緩和」「郵便サービスにおける雇用可能性」「郵便事業における労使の対話」を活用した運動を展開してきました。また、国民的な民営化反対運動により、各自治体で「民営化」反対の意見書が採択されるなど、地方議会を中心に批判が広がり、「郵政民営化の基本方針」では「努力義務」とされた郵便局の設置について、法律では、「義務」と書き込まざるを得なくなりました。さらに、「民営・分社化」に際し、パート職員まで全員の雇用が承継され、「日本郵政株式会社」(持株会社)と郵産労の間で民営化前から事前交渉が実現し、労働協約が締結されました。
こうした、大きな成果をILOに報告すると同時に、「民営・分社」化以降の通信や金融のサービス低下の実態、郵政関連労働者の劣悪な労働条件、2万4千名にものぼる大幅な人減らし計画を報告し、引き続き、郵政労働者の権利と労使関係の変更に際して必要な監視を要請しました。
成果
08年のILO訪問は、ハプニングの連続となりました。2時間遅れの成田出発便は、アムステルダムからジュネーブ行きへの乗換え時間がないうえに、トランク6個が取り残されてしまいました。また、用意した「英語の報告文」が届かないばかりか、準備されたはずの会談も手違いでセットされていませんでした。連続する問題も、この間の継続した訪問とILOに精通した通訳の林原さんの奮闘で交流は無事実現しました。
総会前の多忙な中での懇談
5月28日開催の第97回総会前の忙しいなかで会談に応じた郵政担当のジョン・マイヤー氏は、「前回の交流から2年間何をしてきたのか。今後2年間何をしようとしているのか説明したい」と切り出し、「この2年間のアクションプログラムは、アフリカの英語圏で技能開発、社会対話を促進してきた。アフリカに郵便網を確立し、その質を改善させ、HIVの啓蒙に貢献するネットワークとしていく」と説明しました。
さらに、「2011年、12年に、郵政・電信の民営化・商業化を分析する会議を開きたいと」と述べ郵産労との2年ごとの定期交流の継続を期待しました。
郵産労が、日本の郵政事業の実態などを定期的にILOの産業別セクターに報告を行い、交流・懇談を重ねる中で、前置きなしにいきなり本題に入り率直な議論が展開されています。また、ILO側からは、訪問団から日本における郵政労働者の実態を聞き、どの様な点が大切なことなのか、どこに問題があるのかを把握し、郵政民営化がもたらす国民への影響に対し、ILOとして改善・対応がとれるか真剣に耳を傾ける関係を築いてきました。
現在ILOはDW実現のために、22の経済分野8グループに再編し、諮問委員会を設置して、1年に1回、意見交換の場を設けています。こうした各経済分野との定期的な交流・懇談が求められています。
結社の自由委と懇談
組合事務室問題の解決に当った菊池紘弁護士は、緊急な要請に応えて参加したダン・クニア労働者活動局長に、「中労委に不当労働行為救済の申立をしたのが1998年。そのご4年間は一歩たりとも動きませんでした。2002年2月に結社の自由委員会に申し立てを行い、同年11月に勧告が出されて以降、中労委はようやく審理を促進するようになった」「勧告後の3年間は審問が急進展した。この2 年余りの間に、中労委の救済命令が7本、これを支持する東京地裁判決が2本、東京高裁の判決2本、さらには命令を強制する緊急命令が5本重ねられた」「このように、東京圏で9ヶ所の組合事務所が設置され、3ヶ所で実現のための協議がすすんでいる」、このよう大きな成果は、問題の解決のためにILOの要請(勧告)が大きな意義をもった。と報告しました。
ダン・クニア局長は、「十分に役割をはたせて本当にうれしい。自分たちの仕事が勇気づけられるということだ。特に、この件は私が担当した。日本の公務員問題、国労ケースによい方向を与えることを願ってやまない。皆さんの忍耐・決意が大きかった」「日本の裁判制度は大変な年月がかかることを知っている。外部的な補助を提供して、解決に至ったことはILO自身も本当にうれしい」と述べるなど、勝利解決の報告は、ILOにとって何よりのビックニュースとなりました。

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